裏切りの時計

今まで、目覚まし時計は朝に弱い私の味方だと思っていました。大きな音で朝が来たことを教えてくれる。起きる時間になったことを知らせてくれる。私は今まで何度、そんな目覚まし時計に助けられたことかわかりません。

実際、目覚まし時計は私の味方でした。今までは、確かに。

その一方で、私が目覚まし時計を裏切ったことは数知れず。朝だと一生懸命教えてくれているのに、なかなかそれを飲み込もうとしない。起きる時間だと知らされて起きるフリをして音を止めながら、再び眠りに入る。

そんな風に、私が目覚まし時計の頑張りを無駄にしてしまうのは、珍しいことではありません。せっかくの頑張りを無駄にしながらも、申し訳ないと思うことさえありませんでした。

それでも目覚まし時計は、来る日も来る日も朝に弱い私の力になろうと必死になってくれていました。それに甘えてしまった私が悪いのです。ついに目覚まし時計は、私を裏切りました。裏切るというより、厳しくなったといった方がふさわしいでしょうか。

今までは私が止めれば、大人しく止まってくれました。でも今度は、ちょっとやそっとじゃ止まろうとしないのです。

「そんなにも自分を止めたいのならこのパズルを解きなさい」というのです。これには私も困り果てました。早いこと鳴り響く目覚まし時計を止めたい。あわよくば、また眠りにつきたい。それなのに、パズルが解けない。音が止まらない…。

そんなこんなしているうちに、すっかり目が冴えてしまいます。やっとパズルが解けた頃には、もう一度寝ようという気持ちにもなりません。目覚まし時計は、私を起こす役目を果たせたことでちょっと自慢げ。

そうですよね。目覚まし時計の役目は、私の目を覚ますこと。パズルを解くことに手間取り、寝床から出る時間がいつもより遅くなっても、目覚まし時計の知ったことではないでしょう。